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大腸菌について
- [大腸菌ってなに?]
- 大腸菌は、健康なヒトの大腸内で生息し環境中にも広く分布している微生物ですが、腸管出血性大腸菌O157などのようにある種の大腸菌はヒトに下痢、腹痛などといった病気を起こします。このような、胃腸炎を起こす大腸菌を“病原大腸菌”あるいは下痢原性大腸菌と呼んでいます。また、病原大腸菌は一般的に5種類に分けられています。
- 厚生労働省ホームページ「腸管出血性大腸菌 Q&A」のページは、こちらへ
- [病原大腸菌の発見]
- 大腸菌の中には下痢を起こすものがあります。これらを‘病原大腸菌’もしくは‘下痢原性大腸菌’と呼んでいます。大腸菌がヒトの下痢症の原因となること
を始めて報告したのは、1927年のAdam(アダム)が最初と考えられています。その科学者は、胃腸炎を起こしている乳幼児の大便の中からいくつかの大腸菌を分離し、
いろいろな種類の糖と混ぜて培養し、どの糖を栄養として利用するかを調べました。そして、下痢をした多くの乳幼児の大便中に含まれる大腸菌のうちいくつかの決
まった糖を利用するただ1種類の大腸菌が下痢症を起こすと推測しました。
次いで1933年、Goldschmidt(ゴールドシュミット)が胃腸炎の乳幼児から分離された大腸菌に
①血清学的な特徴があること
②その大腸菌が胃腸炎乳児の約半数から分離されても健康な乳児や成人からはほとんど分離されないこと
③ヒトからヒトに感染して病気を起こすという重要な発見をしています。
1940年代に入り、イギリス国内の病院では乳児下痢症が流行したことから、大腸菌と下痢症との関連性が注目されはじめました。
そして、患者と健康者との比較研究や血清型別分類法2)の開発、動物や遺伝子技術を使った研究が活発に行なわれたことにより、胃腸炎を起こす大腸菌が確かに存在すること、
そして下痢発症のしくみが明らかになってきました。
- 大腸菌:大腸菌の学名はEscherichia coli (エシェリヒア・コリ)といい、短くE. coli (イ-・コリ)とも呼んでいます。
血清型別分類法:特定の大腸菌にのみ反応する免疫血清を用いた大腸菌の分類方法。
- [症状]
- 5種類のうちの1つ、『腸管出血性大腸菌』を例に症状を見てみましょう。
この病原大腸菌は、血液が混じった下痢を起こすことから、腸管出血性大腸菌(enterohemorrhagic E.coli、略してEHEC)と呼ばれます。
EHECは先に述べたEPECに似た接着作用によって大腸に定着し、‘ベロ毒素’と呼ばれる強い毒素を放出して腸管が水分を吸収できなくしたり血管を破壊したりします。
EHECが世界的に注目されはじめたのは、1982年に米国のオレゴン州とミシガン州で、ある食中毒が起きてからでした。ビーフハンバーガーを食べた住民が強い腹痛を訴え、
真っ赤な血のような下痢を起こしました。その原因菌として見つかったのがEHECの仲間の一つで、今ではほとんどの皆さんもご存じの有名なO157です。
日本では、1996年に大阪府堺市で小学生を中心とした大きな集団事例が発生し、散発的な発生例を含めて、その年には17,877名の患者と12名の死者が発生し社会問題となりました。
症状は、腹痛と水様性の下痢として出現し、翌日に血便がでることが多いようです。おう吐は少なく、発熱は多くは37℃台と軽度です。潜伏期間は、一般的に3~5日ですが感染後10日以降
に発症する場合もあります。回復期間は平均8日とされていますが、一部の患者ではHUS13)といわれる腎臓などの障害を引き起こし重症化(死亡する場合も)、長期化する場合もあります。
小児や高齢者では重症化しHUSを発症する割合が比較的高く、また、EHECも重篤な場合が多いと言われていますので、ご家庭をはじめ、学校や幼稚園、保育園、老人ホーム等の施設では特に
注意しなければならない菌です。
- EHEC:この大腸菌が産生するベロ毒素の名前からベロ毒素産生性大腸菌(verotoxin-producing E.coli:VTEC)、あるいはベロ毒素が赤痢菌の毒素である志賀毒素に類似していることから、
志賀毒素産生性大腸菌(Sigatoxin-producing E.coli: STEC)とも呼ばれています。
HUS:溶血性尿毒症症候群(EHEC感染に続いて起こる腎臓障害や中枢神経症状)。
- [感染経路]
- 感染経路1
- 腸管出血性大腸菌は、牛などの動物の腸管にいる菌です。主な原因食品は、牛肉や牛レバーなどの生食や加熱不十分な肉類です。また、食肉等から二次汚染した食品などあらゆる食品が原因となる可能があります。
- 感染経路2
- 患者の介護をした人の手洗いが不十分なことから、二次感染につながることがあります(経口感染:手や、手でふれた食品を介して病原体に感染)。
また、トイレや風呂を介した感染、子供用簡易プールでの感染、観光牧場での動物への接触などによる感染事例も知られています。
- [発生状況]
- 我が国における食中毒の発生件数は、1998年~2003年の6年間では年平均2,200件ほどで、うち細菌性のものが約80%(1,800件)、ウイルス性が約10%(200件)、
残りは自然毒などや不明事例でした。細菌性食中毒のうち、病原大腸菌による件数は、2001年までは年平均約240件(EHEC 16件を含む)で、サルモネラ属菌(620件)、
腸炎ビブリオ(560件)、カンピロバクター(490件)に次ぐ第4位を占めていました。
しかし、なぜか2002年には96件、また2003年には47件と減少し、第5位(59件の黄色ブドウ球菌と交代)に後退しました。一方、病原大腸菌食中毒の1事例あたりの患者数
については、2001年までは平均12名(9~14名)でしたが、2002年には18名、2003年には30名(ウエルシュ菌83名に次ぐ第2位)と増加しています。
また、病原大腸菌は大規模な食中毒などの集団発生事例をしばしば起こしており、1993年には岐阜県内でEAggECによる幼稚園児と小中学生の患者2,697名の事件が、また1996年
には先に記載したようにEHECのO157による小学生を中心とした事件が発生しています。したがって、現在は病原大腸菌食中毒の発生件数が減少していますが、病原大腸菌が危険性
の高い病原菌であることは変わらないと考えられます。
なお、発生件数等の詳しい情報は、厚生労働省のホームページ(食中毒・食品監視関連情報)をご覧ください。
- [感染予防対策]
- 対策1:肉の生食(レバ刺しやユッケなど)は避け、十分に加熱しましょう
- 対策2:肉を焼くときの取り箸やトングなどは専用にして、口に入れないよう注意しましょう
- 対策3:生野菜はよく洗い、ハンバーグなどは中心部まで十分に加熱しましょう
(十分に加熱できたかどうかの目安として、ハンバーグの中心から透明の肉汁が出ることを確認します)
- 対策4:調理の時、手指はこまめに洗いましょう。特に、生肉を扱った手指は、他の食材や器具に触る前に、石鹸で十分に洗いましょう。
+プラスビオミュート!→石鹸で手を洗ったらビオミュートハンドで除菌
- 対策5:生肉を扱った調理器具は、使用後すぐに洗剤で洗い、熱湯等で消毒してから、他の調理に使いましょう。
+プラスビオミュート!→食肉を調理した調理器具は洗った後にシュッとビオミュート☆
洗剤だけでは落としきれない菌やウイルスもビミュートで除菌
- 対策6:動物に接した後やトイレの後、調理・食事の前に石鹸と流水で十分に手を洗いましょう
+プラスビオミュート!→石鹸で手を洗ったらビオミュートハンドで除菌
- 対策7:患者の介護をする人は、下痢便に触れないように使い捨て手袋を使い、はずした後も十分に手を洗いましょう。
+プラスビオミュート!→石鹸で手を洗ったらビオミュートハンドで除菌
- 対策9:下痢症状のあるときは入浴の順番は最後にし、シャワーを使いましょう
- 対策10:下痢症状のあるときは、プール(特に子供用簡易プール)の使用は控えましょう